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2014年9月 1日 (月)

レン菌症に思うこと。





みなさんこんばんは(^^)

今日あたしはT農場に行って来ました。

一貫農場なので、まず候補豚を見て回ります。
候補豚っていうのは、母豚になる前の若い雌です。
だいたい140キロくらいになったら発情が来て、交配されたら「母豚」になります。
母豚の体重は200キロくらい。
意外に大きいでしょう⁈

候補豚を見ていたら発情が来ているのがいました。

そのサインは陰部が赤かったりふっくらしていたり、ソワソワしたり耳をそばだてたりなんだけど、確定するには雄を近づけて「ピンとなる」のを確認します。

「ピンとなる」ってのは、許容姿勢ということで、耳がピンと立って背中を押してもじっとしている状態です。

発情してるらしい豚を見つけたあたしは確認したくてたまらなくなり、でも雄がいないので雄のフリをして若雌に近づき、そーっとまたがってみました。笑

動かない!(*^^*)
発情です!

でもせっかく乗ったのに動かないとつまらなくてねぇ〜。ロデオしてよ〜なんて思ってしまいます。←こんな遊びで怪我したらもう会社行けないよね。笑

しばらく歩くと、死んでいる豚を見つけてビックリ!
あんまり大きかったので自分では引っ張らず担当者に伝言し、あたしは着替える為に事務所に行きました。

するとさっきの彼が「死んだ豚なんていませんでしたよ!」と言いに来ました。
「え⁈ごめん!」と謝りつつも腑に落ちなかったので再度その豚舎へ。

…やっぱりいるじゃんよ〜(´・_・`)

悔しかったので「ほら!」とばかりに100キロの豚を外に引っ張り出しましたよ〜。
動かない豚って何でこんなに重たいの〜!

ちょっと古かったので解剖はしませんでした。

それから離乳子豚を見て、育成子豚も見ました。

レンサ球菌症って病気があるんだけど、神経症状が出て立てなくなります。
すぐに治療して支えて餌や水をあげたら助かるんだけど、なかなかそれができる農場って少ないです。

でも目がしっかりしているととても可哀想で、あたしはお水でも飲ませようかと思って抱きかかえました。

そうしたら、熱いの。

あぁ、こんなに小さいのにこんなに熱が…って思ったら帽子のツバからポタポタと雨の水滴が落ちてきて、つられてあたしまで泣きそうになっちゃった。

助かるといいなぁ。

その子豚以外にも少し大きな豚舎でやっぱり起立不能がいて、その豚は眼振もしていて結構酷かったんだけど、何より同居豚に虐められて耳がなくなっていました。

あたしは急いで部屋から出したんだけど、どこにも入れるところがなくて、通路も下痢予防の石灰だらけで、結局、その立てない豚は安楽死になりました。
麻酔をしたら空をかくような動きは止まって、もう怖かったり痛かったりしないね、って思ったんだけど、あたしは、本当は、元気になって欲しいんだ。

また餌を食べたり走り回ったりしたいだろうな、それを叶えてあげられなくてごめん、って思う。

1000頭豚がいたとして、999頭は元気でもあたしは「あぁ!良かった!」って思えないの。その1頭が苦しかったら、ってそればかり考えてしまう。

企業には不向きなんだろうな。

でもそういうのは、きっとあたしのとても大切なところだから、付き合ってくしかないんだと思う。

傷つくけど…。でも本当に辛いのは豚だし。

いじめから他の部屋に隔離出来たら、とか、家に連れて帰れたら、とか、牛みたいに個体治療してあげられたら、とか、犬みたいに入院させられたら、とか、色々考えるけど、結局どこかで線を引かなきゃ「食べるのなんてやめたら」ってことになる。

どこまで出来るかはその農場によって違います。
隔離してスプーンで餌をあげる農場もあるし、本当、色々なんだ。

でもみんな自分なりに精一杯してくれているから、あたしは豚や農家さんを支えていきたいと思います。

…と、言いつつ農場ではよくけんかもするけれど。笑
豚の為だし、いいよね。

毎日沢山の命が生まれて、沢山出荷されていき、皆さんの食卓に並んでいます。

感情ある動物の、たったひとつの、大切ないのちです。

私たちも心を込めて大切に育てています。

みなさんにも「幸せに育ったいのちを食べたい」と思っていただけたら励みになります。

限られた条件の中で、豚と一緒に頑張って行きます。

豚の明日が今日より良くなりますように。
今日あたしが安楽死した豚が、次は幸せな生を送れますように。
あたしも、強く、頑張れますように。

おやすみなさい。

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