家畜講座

2014年6月 7日 (土)

牛の親子





みなさんこんばんは!

過ごしやすい季節ですね。

あたしは今日は大好きな牛の先生に診療随行させてもらいました。

牛って本当に一頭一頭大切にされてるんですね。名前がついていたり、病気が治ったり妊娠したりすればそりゃもう家族みんなで大喜びで、あたしにはとても新鮮で眩しい体験でした。

獣医師と農家さんの距離は…と言うか信頼関係は厚くて、必要とされている感がすごくあって、格好いい仕事だなぁと思います。

でも緊急対応は24時間だし、技術や知識はとても沢山必要だし、体力的にもパワフルだし、それなりの努力とか経験があってこその格好良さです。

比べて私はのんびり働いているなぁと思いました。

臨床って憧れちゃう。あたしも豚や牛を治したい。
なので随行はその第一歩です。
何もしないで指を咥えて羨ましがってるより精神衛生上ずっと健全。
豚に応用できることもあるしね。
あたしは勉強させてもらってハッピーですが、面倒くさいだろうに受け入れてくれてタダで質問にも答えてくれて、技術も教えてくれている先生には頭が上がりません。

先生!どうもありがとう(≧∇≦)

そして「研修ってどこの大学から?」とか言ってくれる農家さん、本当に本当にありがとう!笑

農家さんには教えていただくことばかりなのに、子育て中の頼りない女性獣医(しかも研修は月に1回あるかないか)を「しっかり勉強して頑張んなさいよ!」と応援してくださって、私は良い方々に恵まれているなぁと感じました。

世の中には「あなたには無理だわよ」と正直な感想を口にされる方もいるのです。
だからそうじゃないのはありがたい。

さて、牛ってとても可愛いです。子牛なんて聴診器当てたらふわふわしていてお日様みたいな香りがして抱きしめたいくらい可愛いの!
元気な子牛はあたしの背中に興味津々に近づいて来たりして、振り向くとフリーズして、まるで「だるまさんが転んだ」状態!
和牛はちょっと怖いけど、今日は直腸検査で胎児の頭を触らせてもらってワクワクしました。

とにかく、楽しい!
「治して欲しい」人がいて、技術でもってそれを治して、牛が元気になって、人が喜んで…。
あたしは何も出来ずに見ているだけだけれど本当に楽しいのです。

今日はホルの農場にも行ったんだけど、今朝産まれた子牛がいて、陰部にまだ胎盤をくっつけた母牛がその子をペロペロと舐めていました。

※写真は和牛です。ホルは乳牛のことね。

全く微笑ましいったら!

ところがしばらくしたら、子牛は子牛の部屋に運ばれてしまって、母牛はその子牛を追いかけてモーモー鳴いていました。子牛の部屋は母牛から見えるところだったから、母牛はずっとソワソワ子牛を見ていて、顔つきはとっても真剣で、あたしは少し怖かったです。

母牛も、きっと子牛も、ずっと一緒にいたいんだろうになぁ。あたしは今は母牛の気分だから、朝産んだ子牛にお乳をあげられないのとか、柔らかい子牛の毛の香りをかげないのとか、連れて行かれてお腹が空っぽになったみたいな頼りなささとかを思ってしまって、こういうシーンは慣れていないと結構悲しい。

でも牛乳って、そうやって出来ているんだよね。
ここの牛はとてもきれいで大切にされている方だと思うし、子供を離すのは特別なことじゃないんです。

みんなもっと牛の生活を知って、乳価も少し高くして、子牛が飲むはずのお乳だから、大切に飲んだらいいなと思いました。

夜になって、あの母牛は今どんな気持ちなんだろう。

…っていちいち立ち止まるからあたしは産業動物獣医に不向きな感じもしちゃうんだけど。

でもどうにも出来ない事なら、せめてきちんと知って、頂く度に感謝しなくちゃね。

牛の獣医も楽しいだけじゃないね。きっとどんな仕事もやり切れないことってあるんだろうなぁ。当たり前と言えば当たり前だけど。生き物相手だとちょっと多いかもしれないね。

牛ってさ、豚より静かなの。殆ど鳴かないし、聞こえるのは扇風機の音くらいなんだ。だから、何だか余計切なくて。

いや、うーん、切ないのは豚も同じか!

みんな不満ひとつ言わず一生懸命生きているからね、そりゃ切なくなるよね。

ともかく、考えることが沢山あった一日でした。

夕食は昨日作っておいたあら炊きで済ませました。
お魚にも感謝だなぁ。
あたしは生かされているんだなぁ。

日々感謝して素直に謙虚に生きて行きたいです。

では今夜はこの辺で。
よい週末を。






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